『民主主義の危機に無自覚であることへの警鐘』
一気に読み通してしまいました。あまりの面白さに開いた口が塞がりませんでした。日米間の密約の実相をオフラーティ文書で暴いてみせる部分は痺れますね。
日本人は皆核搭載艦船の通過なんかどうせやってるんだろうと思ってると思いますが、政府の嘘が自縄自縛の末に回復不能なまでに現実から遊離してしまっていることに対する民主主義的な危機感は確かに薄いことに気づかされました。
また、日本政府の引継ぎ体制の甘さも気になりましたね。総理大臣や大臣の交代時に体系だった引継ぎをするのは実はほぼ無理で、案件が持ち上がるたびに、過去の経緯をあわてて大臣の頭にインプットする、というのが標準的なやり方でしょう。池田首相の答弁の時に、外務省がどういう総理答弁を用意し、官邸とどう話し合ったのか、気になるところです。
最後に、日本の将来の方向性について、日本は実は核抑止信仰がしみついていると喝破した上で、唯一の被爆国として真の非核を主導すべき、という考えには共感しました。著者によるこのテーマの掘り下げを期待したくなりました。